小浜線運転シミュレーター製作の裏側
現在、小浜線の運転シミュレーターを製作中です。ここでは、これまでの製作過程を紹介します。
BVE 小浜線製作プロジェクト 公式Twitter:@obamarailbve
製作過程(データ編)
①現地の取材
実際にゲーム内で出てくる駅や建物などは、すべて3Dデータで再現します。
そのため、実際のサイズが分からないと、再現することができません。
そのため、実際に現地へ行き、メジャーを使って寸法を測ります。
また、テクスチャ(3Dデータに張付ける写真)も、この時に撮影します。
画像は、東舞鶴駅のホームの寸法を測定しているもの
②3Dデータの作成
①で測定した数値や、撮影した画像を使って、ゲーム内に置くオブジェクトの3Dデータをソフトを使って作成します。
使用するソフトは、Metasequoiaやスケッチアップといったソフトです。
(Bve trainsimでは、3DデータがXファイル形式なため、それに対応するソフトを使用する必要がある)
写真は、高架のスラブ軌道作成中の写真
テクスチャは、写真だけでなく、イラストでも作成します。
写真は標識類作成中のイラスト
③構文の記入
ようやく構文を記入することができます。
bve trainsimで指定された構文を用いて数値を入力し、線形を作成していきます。
この数値は、データ内の長さ(距離)を表すもので、再現する現地と同じ値にする必要があります。
したがって、事前に測量し、調べる必要があります。
また、googleマップ等を用いて、数値を出す方法もあります。
線路の変わり目など、細かい部分も再現していきます。
また、線形以外に、作成したオブジェクトも構文によって設置していきます。
ポイントの緩和曲線部などの数値は、双曲線やクロソイド計算から算出します。
製作過程(運転台構造関係)
①図面の作成
運転台や枠組みの図面を、車両図面をもとに作成します。
また、設計計画書や、組み立て図なども作成します。
②加工の準備・加工
材料のベニヤ板は、レーザー加工機で切断します。
①で作成した図面をレーザー加工用データに変換し、機械を起動させる準備をします。
※ここでは、切断する順番なども調整する。今回は切断面積も大きく、精度も高いため、調整に苦戦した。
準備が出来たら、いよいよ加工します。
レーザー加工は、精度を高くする必要がある部分や、加工サイズの大きな部分のみ使うため、レーザー加工の必要が無い部材はコンタマシンを使い手動で加工します。
製作過程(運転台電気関係)
①キーボードの設定
★ハンドルの操作を動作させるためのしくみ
bve trainsimは、本来パソコンのキーボードで操作するため、今回は、運転台のハンドルにスイッチを繋げ、ハンドルを操作した際にスイッチから発せられる信号をPCのキーボード操作に割り振ることで動作させます。
マイコンは、Arduinoを使用します。対応するスイッチのキー操作をプログラムし、動作を確認します。
②カム軸の設計
ハンドルを操作した時にクリック感を出させるため、カム軸を製作します。
ハンドルの操作感を実車と似させることは非常に難易度が高く、使用する素材や大きさなどによって大きく変わってきます。
今回の製作の中で難易度の高いものの一つです。
③各種部品の加工
ハンドル部分の部品など、運転台の部品
を実習工場で加工します。
左写真は、ハンドル軸の棒を旋盤で切削している時のもの
右写真は、ハンドルの曲線部分を製作するために、水道の蛇口を溶接している時のもの
④カム軸の設計
入手困難な物は、3Dプリンターで作成します。
写真は、ハンドルのグリップをモデリング中のもの。
⑤部品の組み立て
設計したカム軸を3Dプリンターで造形し、スイッチ類と組み立てます。
また、導線の配線なども行い、スイッチとの調整も行います。
組み立て
切断したベニヤ板を組み立て、不備がないか確認します。
表面加工し、塗装を行います。
機器類をはめ込み、組み立て完了です。