小浜線について知る
小浜線は、福井県敦賀市にある敦賀駅から京都府舞鶴市にある東舞鶴駅までのおよそ84kmを結ぶ、嶺南地域唯一の鉄道です。
沿線には、かつての鯖街道の宿場町だった熊川宿や、自然豊かな三方五湖、また、海軍時代の名残が残る赤レンガ倉庫など、様々な観光地があります。また、路線内には、若狭湾のすぐそばを通るポイントや、のどかな田園地帯の中を通るポイントなどがあり、車窓からの眺めも楽しめます。
また、日本海側だからこそ感じることのできる季節の変化もあり、年中を通して旅行者にも利用されています。
かつては、夏の海水浴シーズンになると、「若狭ビーチ」などと称された臨時列車も走っていたほどです。また、NHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」でも取り上げられた他、多数のドラマや小説にも取り入れられています。
小浜線の運行背景
小浜線は、2003年に電化されました。電化後は2両編成のワンマン運転で運行されています。小浜線は全部で24駅ありますが、そのうち駅員がいる有人駅は12駅です。しかし、自治体への委託駅や簡易営業の駅がほとんどで、JR西日本の社員が管理している駅は、たったの3駅です。自治体への委託が多いゆえに、沿線の人々の小浜線との関りは深いものとなっています。加斗駅は、駅舎内に散髪屋があり、オーナーさんが切符の販売業務を行っています。また、若狭高浜駅や美浜駅などは、駅舎内に観光協会が併設されており、切符の販売業務や駅の管理も観光協会が行っています。
しかし、車需要が高まっている現代社会において、小浜線の運行規模は縮小しつつあります。電化前は、大阪や名古屋から、小浜線へ直通する急行列車や快速列車が多数運転されていました。しかし、これらはすべて廃止されてしまいます。また、2006年までは、車掌が乗務する列車も多数運行されていましたが、運行形式の変更で大幅な運行数の減少へ移ってしまいます。
現在では、ほぼすべての列車がワンマン運転されています。
小浜線の歴史
小浜線のこれまでの歩みを、年表形式で解説を交えながら見ていきましょう!
明治28年 01月 帝国議会で、鉄道敷設法の改正案(北陸線の改正)が出される。
明治28年03月 鉄道敷設法に、「舞鶴ヨリ福井県小浜ヲ経テ敦賀二至ル鉄道」が追加される。
小浜線は、最初から建設が予定されていた路線ではなかったんだね。
北陸線の建設計画の改正によって、敦賀から舞鶴まで新たに鉄道を通すことになったのか~
その通り!
だから、実は当初は小浜線という名前では呼ばれていなかったんだよ。
「敦鶴線」という名前で呼ばれていたんだ!
大正06年12月 15日 敦賀駅から十村駅までが開業する。
大正07年1 1月 10日 十村駅から小浜駅までが開業する。
大正10年04月03日 小浜駅から若狭高浜駅までが開業する。
大正1 1年1 2月20日 若狭高浜駅から新舞鶴駅(現在の東舞鶴駅)が開業する。
大正14年06月26日 若狭和田仮停車場が開業する。
昭和09年06月01日 若狭和田仮停車場が駅に変更され、若狭和田駅が開業する。
停車場って何?
列車が行き違いするためだけに、停車する場所を停車場って言うの。
停車場から駅に変更されたことで、お客さんが乗り降りできるようになるんだ
昭和 14年06月 01日 新舞鶴駅が東舞鶴駅に駅名変更される。
昭和 18年 12月 21日 松尾寺駅から旧海軍第三火薬廠間に、第三海軍火薬廠鉄道側線が開通する。
昭和23年07月 23日 福井大震災により、6日間の線路不通が起こる。
昭和28年08月 14日 東小浜駅が開業する。
昭和28年09月25日 台風13号により、32日間の線路不通が起こる。
昭和 31年04月 10日 河原市駅が美浜駅、三宅駅が上中駅に駅名変更される。
昭和36年03月 01日 急行わかさ号が運行開始
昭和36年07月 15日 勢浜駅と三松駅が開業する。
昭和36年08月 01日 東美浜駅、気山駅、藤井駅が開業する。
昭和37年09月 01日 西敦賀駅が開業する。
昭和39年06月20日 若狭有田駅が開業する。
昭和40年09月 17日 台風24号により、13日間の線路不通が起こる。
昭和46年09月25日 蒸気機関車の運用が廃止され、DE型機関車が導入される。
昭和48年03月 15日 加斗駅の列車交換設備が撤去される。
昭和48年03月 15日 三方、大鳥羽、新平野、東小浜、加斗、若狭和田、青郷の各駅が無人化される。
昭和56年08月25日~31日 蒸気機関車C56型160号機による「SLわかさ号」が運転される。
昭和62年04月 01日 日本国有鉄道から西日本旅客鉄道に経営移管される。
JRの社員さんの中には、SLわかさ号の運行が一番の思い出に残っている人もいるよ!
平成03年04月 01日 小浜鉄道部が発足する。
平成04年04月 01日 ワンマン列車が導入される。
平成08年07月 13日 東舞鶴駅が高架化される。
平成 1 1年04月 01日 日本貨物鉄道の第二種鉄道事業廃止
平成 1 1年08月 14日 集中豪雨による天狗山トンネル土砂流出で、25日間の線路不通が起こる。
平成 1 1年 10月02日 急行わかさ号が廃止される。
平成 1 1年 12月22日 JRが福井県ほかと電化に関する協定を締結する。
平成 12年07月 15日 電化工事着工
平成 15年03月 15日 電化開業により、気動車が廃止される。113系電車及び125系電車による運用開始
平成 15年09月 14日 若狭路博2003に合わせた臨時列車が運行される。
平成 18年 10月 21日 運用車両が125系電車に統一される。
平成20年03月 31日 JR西日本が、松尾寺駅駅舎を舞鶴市に無償譲渡する。
平成22年06月 01日 敦賀地域鉄道部が発足する。
平成27年 10月 1 1日 ラッピング列車運行開始
平成29年 12月 15日 敦賀駅から十村駅間が開業100周年を迎える。臨時サンダーバード号が運行される。
平成30年 1 1月 10日 十村駅から小浜駅間が開業100周年を迎える。
令和元年10月25日~26日 京都丹後鉄道くろまつ号が臨時運行される。
小浜線の車両
125系電車
現在、小浜線で運行されている車両です。車両の両側に運転台が設置されているので、
1両編成でも運転可能です。
車両には、ATS-SW区間とATS-P区間を走行できるよう、保安装置が備え付けられています。これは、車両の検査時に、工場がある吹田まで走行しなければならないからです。
★ATS自動列車制御装置にも種類があり、小浜線は、ATS-S形が採用されています。
車両にはトイレも備えられており、長時間の乗車も快適に利用することができます。
※加古川線でも、125系が使用されていますが、保安装置の設備や、起動加速度の違いなど、同じ装備ではありません。
113系電車
電化開業から平成15年まで使用されていた車両です。
国鉄時代に製造された車両で、ワンマン運転には対応していません。
現在は、湖西線や草津線で運行されています。
ポイント
塗装されている色は、小浜色と呼ばれていました。
113系などの国鉄車両は、路線ごとや地域ごとの塗装が施されています。
緑色とオレンジ色の湘南色と呼ばれる塗装は全国的にも有名です。
キハ58系気動車
電化開業する2003年3月までの間運行されていました。
イラストの塗装は、小浜線用の塗装です。
車両は気動車で、小浜線の他にも非電化区間で今も活躍しています。
キハ58系以外に運転されていた気動車
・キハ20系
・キハ53系
・キハ26系
・キハ55系
・キハ28系 など
DE10型機関車
主に、貨物列車の牽引に使用されていました。
ディーゼル機関車なので、非電化区間で活躍しています。
また、2019年の臨時くろまつ号運転時にも、この機関車が牽引しました。
C58型機関車
蒸気機関車時代に活躍した機関車です。
「シゴハチ」という愛称で親しまれました。
また、171号機は、小浜市中央公園で保存されています。
C58以外に、8620(通称ハチロク)などの機関車も活躍していました。